くさせんべいと東武のはなし

ひたすら東武のことをつぶやくブログ。「煎餅の旅と日常」の主による別ブログです。

新フラッグシップ列車はどうなる?東武特急の今後を考える

多忙だったこともありブログ放置気味だったくさせんべいです。

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(↑貴重なリバテー3重連)

少し前の記事で「新しく造られる500系3編成は350系置き換えに使われる」と大予想しましたが、見事なまでの大ハズレ(´・ω・`)。置き換えられたのは万年休車状態の200型201Fでした。改造元から数えて半世紀が経過しようとしている350型が2021年を迎えたどころかダイヤ改正後も残ることが決定しており、完全に自身の予想外の方向へ走った感じです。

完全に予想外のことではありましたが、これはすなわちりょうもう号の後継を500系にしても問題ないと東武自身が考えているということではないかと考えられます。

 

さてさて数年前に発表された中期経営計画、そこでは「新型フラッグシップ特急」の文字がありました。ここでの新型フラッグシップ特急とはすなわち登場から30年近く経過する100系スペーシアの後継となる列車のことであり、100系スペーシアと同様の日光方面の運行を担当します。

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…が、その問題のフラッグシップ特急、その計画の2021年に突入してもなお音沙汰ひとつ無く、プレスリリースはおろか噂レベルの話ひとつすら聞こえてこない状況。昨今の感染症流行、それに伴う景気悪化によって計画変更がなされている可能性は十分に考えられますが、噂すら聞こえないと本当に導入されるのぉ?という疑問が湧いてきます。とはいえ100系スペーシアの老朽化を考えると計画中止というのはほぼありえない話だとは思われますが

 

今後が予想出来ない東武特急のこれから。今回はふとコレについて考えてみたくなったので、ここに書き記していきたいと思います。

 

 

東武特急の現状

まず東武特急ですが、現在はライナーとJR直通列車を除く全ての定期特急が浅草駅を発着します。その中で、系統はおおざっぱに2種類、日光方面のきぬ・けごん号他群馬・両毛方面のりょうもうに分けられます。

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りょうもうは浅草駅から分岐点の東武動物公園まで走った後、久喜・館林・足利・太田方面に向かい、大半の列車はそこから先赤城駅方面に向かいます。その他、ごく一部の列車が支線区へと入ります。使用車両は基本的に200型と250型、見た目も車内設計もほぼ同じです。その他、リバティりょうもう号という名前の列車のみ500系リバティでの運転です。

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ライナーおよびりょうもう号を除く浅草発着の特急(以下「日光特急」)は東武動物公園(通過)から分岐して日光線に入り、日光鬼怒川方面へと向かいます。

けごん号は東武日光行、きぬ号は基本的に鬼怒川温泉行、(リバティ)会津号は鬼怒川温泉を通って野岩鉄道の先・会津鉄道会津田島駅へと向かいます。

「リバティ」の名前が付く列車は全列車500系リバティでの運転、それ以外のきぬ・けごん号は100系スペーシアでの運転となります。土休日のきりふり号のみ350型での運転です。

 

その他にJR直通列車があり、新宿・池袋・JR大宮から東武日光鬼怒川温泉へと走ります。車両はJR車と100系スペーシアです。

ライナーの説明は割愛します。

 

まとめると、りょうもう号と日光特急はほぼ別車両を使用しての運転であり、日光特急に至っては内装のほぼ違う複数の列車が運転してる状態です。

 

フラッグシップ特急はどのように導入されるか?

フラッグシップ特急の置き換えは2種類の案が考えられます。

一つ目は100系スペーシアをそっくりそのまま置き換える案。つまり、現在9編成存在する100系をそのまま新車に変える方法。多くの鉄道会社で過去何度も採られてきたやり方です。二つ目は数編成だけ豪華特急を造り、他を500系リバティで代替する案。数編成だけ豪華特急を造り看板特急とするやり方で、この方法はサフィール踊り子や近鉄特急しまかぜのやり方にも似た方法と言えそうです。

私はこのうち、後者のやり方が採用されるのではないかと考えています。理由としては、100系が豪華特急であったDRCの意匠を継ぐ豪華特急であり、新型フラッグシップ特急がそれを直接代替する列車であるからし豪華さが求められるのではないかと考えられるからです。…しかし、100系登場当初の特急がまさしく「特別な急行」であった時代とは違い、現在の特急は停車駅が増え地域の足としての役割も立派にこなしてしまっています。ハイクオリティの観光輸送とそこそこ快適チープな地域輸送、求められるものが全く違うだけに両立は困難であり、観光特急と地域輸送特急に分けた方が合理的だと考えます。また、現在がバブル期でないために豪華列車とはいえかけられるお金は限られているはずであり、ならば数編成のみに資金を集中投入した方がより豪華で満足度の高い列車を造れるのではないかと考えます。

この後者案に基づいて今後の東武特急の今後を考えていきます。

 

これからの東武特急を考える

りょうもう号の置き換え

これからの東武特急を考えるにあたり、最も気になるのがりょうもうの今後。りょうもう号はかなり早くからビジネス急行/特急としての地位を確立しつつあり、内装は豪華列車だった日光特急とは打って変わってシンプルな機能と座席定員の多さが求められてきました。その証拠に200系の定員は398名、500系2編成連結時の定員は322名で座席定員76名のたいへん大きな差があり、これを無視して200系から500系へ置き換えてよいかと言うと…。ただこれが供給不足レベルになるのはゴールデンウイークなどくらいのようで、多くの時間帯では久喜以北ガラガラというのも割とよく見ます。久喜以南はライナー列車なども多いので、輸送を北千住ー久喜以北で絞り込むならリバティでの代替も不可能ではない…のかもしれません。東武はどのように判断するのでしょうね。

ただ、200型の方は車体だけで30年近く、足回りにいたっては60年近くにわたって使いこんでいるためもうそろそろ100系スペーシアともども置き換えするのが望ましいと考えられ、その後継として500系を持ってくるのは効率化という点ではこれ以上になく合理的であると言えます。さらにリバティは分割併合可能な構造であるため需要に合わせた運行をしたり途中駅で増解結をしたり支線区直通を増やしたりということも可能です。

なお1編成だけ完全新造の250型がいますが、そちらは車齢が若いことから200型と同時には置き換えられないと思われます。臨時用に残るのではないかと考えてみますが、実際200型の置き換えが進んだ後の待遇は気になります。考察は後ほど

日光特急の置き換え

後者案、すなわち豪華特急数編成と他リバティで100系スペーシアを置き換えるという想定で考えたとき、地域輸送はリバティが、観光輸送は新型フラッグシップ特急が担当する構図になるのではないかと考えられます。時間帯などにより観光客の多く乗る特急列車とそうでない特急列車が分かれていますので、その観光客の多く乗る時間帯の特急を新型に変えれば少ない編成でも観光客をターゲットに輸送を行えると考えられます。近鉄特急しまかぜみたいなイメージです。

なお現在100系で運転中のJR直通列車ですが、分割併合可能な500系をJR直通用に仕立て上げるとかJR直通用の新型を造るとかというのはあまり合理的ではないと思われますし、JR直通列車自体本当に明確に「観光用」という立ち位置をしているので、新型特急がJRに直通するのではないかと考えます。何て言ったって、「定期券では乗れない」わけですし。

こうすると、りょうもう号も合わせて定期特急列車に充当される列車を現在の3~4車種から2種まで減らすことが出来、たいへんな合理化が出来るという大きなメリットがあります。このことから、多くの500系+一部の新型になるという説はあながちあり得るのではないかと考えます。

今の車両の今後

今現在運行されてる列車は、200型と250型(りょうもう号)、100系スペーシア(きぬ・けごん号)、500系リバティ(「リバティ」の冠詞が付く列車およびライナー特急)、350型(土休日運転のきりふり号)、そこに臨時・団体用の634型スカイツリートレインを加えた6車種。

うち、老朽化で廃車になる可能性が高いのは200型と350型。200型は足回りを相当期間使っているうえに接客サービスも時代遅れになりつつなっており、車体そのものも30年近く使ってますからこれを部品流用で再利用というのはさすがに厳しいとしか思えません。350型にいたっては何故令和の時代になっても走り続けられるのか分からないレベルの時代錯誤サービスなのでさすがに後はもう無いと思います…

予想出来ないのが100系スペーシア。30年近く使っているうえに寿命がそう長くないはずの半導体を用いたインバーターをロクに機器更新せず使ってるため老朽化が心配ではありますが、元々が豪華特急であっただけに接客設備は現代でもギリギリ通用してしまうレベル。東武なら数編成を延々と延命する可能性が否定できないのが恐ろしいところです。JR直通列車は現状100系しか担えないわけですし…

JR直通列車用に延命して残し続けるか、臨時用に数編成残るか、それとも全車廃車か…今後が読めない列車の一つです。

もう一つ気になるのが250型。1編成のみの完全新造車であるため200型と同時期に廃車、という可能性が低いと思われますが、だからといって1編成残したところでという話でもあります。考えられる案としては「新車に混じってりょうもう号運用を続ける」と「りょうもう号運用から撤退し臨時用として活躍する」の2つですが…果たして

なお634型ですが、6050型改造でそこそこ古いとはいえ臨時団体用でほとんど稼働しないことから廃車のタイミングがいつになるかは全く予想できません…

 

新型フラッグシップ特急、設備や運用はどうなる?

新型フラッグシップ特急で現状公式情報より分かっていることは「2021年に動きがある」という一点のみ。ただし、現状や東武の過去の傾向よりおおよその予想はできます。

  1. 100系スペーシアの後継
  2. 運用は浅草ー下今市東武日光鬼怒川温泉区間、すなわち現在の「きぬ・けごん」運用。野岩鉄道会津鉄道には入らない
  3. 6両固定編成
  4. 高いグレードの列車になる
  5. 個室が付く可能性アリ
  6. 走行機器等は500系または既存通勤車の設計を流用

ひとつづつ解説します。

「フラッグシップ特急」の名前からある通り新車は看板特急になることを示しています。現在は500系が新車として目玉となっていますが、100系が日光特急の看板を下ろしたわけではありません。看板特急、となるなら100系の後継が妥当となるわけです。100系の方も登場から30年近くが経っているため、置き換えるタイミングとしてはこの上ないでしょう。100系の後継、となるなら当然置き換えるのはきぬ・けごん運用。自社内での運用となり、会津方面に向かうことはないと思われます。きぬ・けごんのみの運用ならわざわざ分割併合運転をする必要もなく、だったら6両編成にして座席定員を確保する方が合理的と言えます。

豪華特急であった100系の後継…ということなので、おそらくこの列車もそれなりにグレードの高い列車になると予想出来ます。それがサフィール踊り子や近鉄特急しまかぜのように豪華さに振り切った列車になるか、そこそこの設備になるかは完全に未知数ですが、500系を超えるグレードになる可能性は高いでしょう。個室ですが、100系に1両6室着いている個室席は子連れやグループ客を中心に今でも根強い人気があるため、個室数を減らしてでも残すのではないか…と考えます。

最後、500系の設計流用になる可能性について。東武特急は100系で当時高価だったVVVFを惜しげもなく採用してしかも全車電動車にしたり、500系でPMSMを導入したりと、技術面で新しいものをよく採用する傾向にあります。が、その裏ではVVVF搭載の通勤車10080型を試験車代わりに先行導入したり、既存の車両でPMSM試験を行ったりと念頭な準備が行われています。500系導入前には634型を造りあちらこちらで臨時列車をいくつも走らせていました。2021年概要発表だとすると、新車で新しい技術を導入するなら時期的に既に何か新しい技術の試験をやっていなければならないのですが、そのような話を全く聞きません。このことから、あくまで既存技術を活用した車両になる可能性が高いと予想されます。もしも500系の設計を流用すれば保守も楽になりますからね。

とまあこんな感じで考えてみましたが、おおよそこの通りの概要になるのではないかと思われます。公式からの「答え合わせ」の結果を期待したいところです。

 

オマケ

ちなみに…理由・根拠不足で確信はできないものの他にも「こうなる可能性あるかな?」という感じの色々な案が思い付きました。

1、ダブルデッカー導入

いくら豪華特急といえど個室とかビュッフェとかそういう座席以外の設備を多く設けてしまうと当然座席が減り、高額料金を設けなければ1列車あたりの収益性は落ちるのは間違いないと言えます。さらにバリアフリー設備・バリアフリーお手洗いや大型荷物置き、Wi-Fi設置スペースなど近年になるにつれ座席以外に求められる設備サービスや空間は増す一方。実際個室と車販カウンターを設ける100系スペーシアは定員288名と中間運転台を持つ500系の322名より24名も少ない定員となっています。というか100系と比べても24席しか多くない500系ェ…

こうした座席定員の減少を抑える案として思いついたのが「ダブルデッカー」。階下席は眺望は悪くなってしまいますが、そこを個室や車内販売カウンターとすればさほど問題にならないのでは?と考えました。むしろ個室を拡充できるのでアリかもしれません。

しかし東武鉄道ではダブルデッカーの採用実績がゼロ。ハイデッカーですら導入実績がありません。極端に異質な車両は導入しない東武鉄道がいきなりダブルデッカーを導入するか?というと…

2、ハイグレード座席導入

これは東武というより他社での傾向。何度も引き合いに出している近鉄特急やサフィール踊り子はハイグレード座席を導入しており、いずれも人気を集めています。ハイグレード座席とそれに伴う特別席料金の設定は定員減に伴う収益悪化をカバーできる可能性がありますから東武鉄道でもハイグレード座席の導入は正直ありえそうです。ただこれまでは列車そのものが特別だったためにハイグレード座席の設定がなく、東武がいきなり始めるかと言うと少し疑問が浮かびます。ただダブルデッカーよりは現実味がありそう。

 

3、あえての3両編成説

次世代の特別急行はどうなるのかなぁと書いていたときふと思いついてしまった説。「3両編成だと2編成繋いだとき個室とか車販スペースとかも2つになってしまうのでは?」…違います。グレードの高い3両の特急を造りリバティと連結して運転するのです。日常の足としての特急と、観光輸送としての特急…相反するその2要素を「どっちも繋げる」という方法で解決しようというアイデアです。仮に、1両を車販カウンターと個室を設けた車両、他2両をハイグレード座席にする案で考えてみます。こうすると、リバティの通常座席3両を普通席とみなした1本の列車を運転する、とみることができます。[全車指定席でグリーン車比率を増やした特急踊り子]…みたいなイメージです。

ここでは前提として、「リバティと新型車をつなぐ」「+αの特別料金を徴収する」「リバティ側はかつての料金で乗車出来る」と考えてみましょう。

メリットは何と言っても編成全体の定員を増やせること。新型を3両のリバティ1編成約160名の半分の80名にしたとしても、リバティをつなぐことで編成全体で約240名が確保できます。そして普通のリバティ車両をつなぐので、観光客は新型に、特急を利用したいだけの地域住民はリバティに乗ることで観光輸送と地域輸送を両立することが期待出来ます。1列車で全ての輸送を担うので、全ての時間帯の列車を地域輸送に用いることが出来ます。3両編成なので観光客の利用しない日は外してリバティ単独運用ともできます。いわゆる需要調整ですね。

もう一つメリットがあります。3両編成なので、単独運転なら電力的にも会津乗り入れが可能となることです。会津方面までの需要がどれくらいあるかは分かりませんが、看板特急の会津乗り入れは南会津の活性化になる可能性があります。たぶん。

まあもちろんデメリットは存在します。中間運転台があるのでリバティと同様に座席定員が減ってしまうというデメリットが存在します。ただこればっかりはどうしようもない問題と言えそうです。

もう一つ。「相互移動」の問題です。簡単に言うと、リバティ側の乗客が新型車に来ていいの?という問題です。連結して運転するので当然ながら車掌の移動や誤乗客移動のためにつなぐことは当然となりますが、一般のお客様はどうするか…という問題が発生します。移動不可となった場合、リバティ側のお客様は車内売店が利用できません。一方移動可能となった場合…リバティ側で指定席を取った客が物見遊山の感で新型車に来て写真撮ったり勝手に空席に座ってみたり通路歩きまわったり…例えそれがなくても車内売店にズラッと並んで目障りだのうるさいだのとなる可能性があり…こういう事が起こると特別列車としてのサービスが悪化することにもつながりかねないのであまり良いとは言えそうにないですね。車内販売の問題は「車内販売ワゴンをリバティ側に巡回させる」という策を採れば解決できますので、原則不可が適切のように思われます。

と、まあ突拍子もなく思いついたアイデアの一つではあるのですが、思った以上にメリットが大きく正直かなり現実味のあるアイデアのように思ってしまいます。堅実的にやってきた東武ですが、ここに来てTHライナーだのSL大樹だのと数年前の東武ではとても考えられなかったことを唐突に初めるようになっており、ぶっちゃけこのアイデアに近しいことを始めてもおかしくないのが最近の東武なのです。

 

新型車両70000系の置き換えが完了し、集中的な車両増備はひと段落した状態。中期経営計画の通りに進むのであれば、少なくともこの1年の間に概要が発表されることでしょう。現代の東武がどのような答えを導き出すのか…その結果に期待しながらこの妄想語りを締めることといたします。